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道徳教育は知識教育ではなく実践教育を

本会理事 安岡正篤研究会会長 浅利 一郎
今年四月から小学校の道徳が教科(中学校は三十一年)としての授業が始まることになっている。
そこで学校の先生方もどのように授業を進めるべきか、また学業の評価をどのようにするのかいろいろ悩んでおられる方々が多いようである。
今の学校の教科はすべて評価することを前提にしているため、それに合致しない教科は正課としては受け入れられないようである。
今年から始まる道徳教育の授業も厳格な評価は行われないようであるが、道徳というものを一般の教科と同じように評価することが果たして正しいのかどうかよく考える必要がある。
そもそも道徳とは知識として教えるものではなく、実践行動で身につけさせるものであろう。戦中日本が領土としていたパラオ共和国を、先年天皇皇后両陛下がご訪問されたとき、戦中日本の学校教育を受けてきた人が両陛下をお迎えするにあたって、当時のいろいろな思い出を語っている新聞記事があった。
それを読むと当時学校では「お父さん、お母さんを大事にしなさい」「家のことを手伝いなさい」「ありがとうといいなさい」等々人間として最も大切なことを実践を通じて教えていたとのこと。
そしてそのような教育を受けてきた人は現在九十歳前後の老人になっていても、未だにそのことを忘れず、子や孫に教えてきたということである。
日本人の当時の先生も小さい時から家庭や社会で躾けられてきたものを、パラオという南太平洋の島国の人々に大きな影響を与え、それが今でも習慣として残っているというのは頭の中で学ぶ教育ではなく、実践をすることで身体にまで染みついたものだと言える。
日本の教育も知識ばかりを詰め込むのではなく、実践教育としての道徳教育であってほしい。